各種予防

なぜ予防が大切なのか

近年の獣医療は、人医療と同様に病気を治す治療医療の発展はもちろんですが、病気を未然に防ぐ予防医療も進んでまいりました。犬や猫は1年で人の4~5年に相当する年を重ねるといわれます。また人と違い、自分で調子の悪さを自覚しても言葉で伝えることが出来ません。
そのような犬猫たちの小さな体の異変に気付いてあげるには、定期的な健康診断が一番なのです。特にシニア年齢とされる7歳を超えたら年に1~2回の健康診断を検討してあげてください。

またシニア年齢では、近年歯周病などのお口のトラブルが増えています。症状が悪化すると、歯ぐきが腫れたり歯が抜けたりしてしまい、ご飯が食べられないほどの痛みを引き起こすこともあります。治療では歯に付着した歯石を丁寧に取り除いたり、抜歯などをして口の中の衛生環境を良くしていきます。

他にも避妊・去勢手術により、子宮と卵巣、睾丸の摘出で将来予防できる病気もあります。当院では動物たちの年齢に合わせた予防治療のご案内が可能ですので、ぜひ飼い主様に予防の意識を高く持っていただき、ワンちゃんやネコちゃんの健康を一緒に守っていきましょう。

生涯を通した予防となる「避妊・去勢」

避妊・去勢手術は「自然なことではない」と思わるる方もいらっしゃるかもしれませんが、その役割は大きく、中高齢になってから生じる可能性がある様々な性ホルモンに関連する病気を予防することが出来るのです。
ワンちゃんやネコちゃんに子供を産ませてあげる予定がなければ、1歳前後での避妊・去勢手術をおすすめしております。

避妊手術(女の子)のメリット

  • 子宮蓄膿症や卵巣腫瘍など、卵巣や子宮の病気の予防が期待できる
  • 女性ホルモンに関連して発生する乳腺腫瘍の発生率を下げる

去勢手術(男の子)のメリット

  • 前立腺肥大や肛門周囲線腫、会陰ヘルニアなどの予防が期待できる
  • ワンちゃんのマーキングやネコちゃんのスプレーなどの問題行動が減り、性格が穏やかになることもある
  • 他のワンちゃんやネコちゃんに過敏な反応を示さなくなる

避妊・去勢手術のタイミング

避妊手術

長い間、生後6か月前後で避妊手術をする方法が推奨されてきましたが、当院では一度発情生理を経験して1歳前後で避妊手術を実施することをおすすめしています。

去勢手術

マーキング行動やスプレー行動などで困ることがなければ、十分に成長する10か月くらいを待って去勢手術を実施することをおすすめしています。

毎年必要な予防「ワクチン・寄生虫予防」

動物たちのワクチン接種は人間と同じように、そのウイルスに対して体内に免疫力を獲得させ、感染や重症化を予防する役割があります。
またノミ・ダニ・蚊などの寄生予防は、それら昆虫による直接の害だけではなく、ワクチンで予防できないウイルス病の感染や寄生虫感染の予防にもなります。
ワクチンは生まれ月によって様々ですが、ノミ・ダニ・蚊は都内でも5~11月はしっかり予防しましょう。

犬のワクチン

狂犬病ワクチン

生後3ヶ月以上の犬には必ず狂犬病の予防接種を受けるように義務づけられています。
毎年の予防注射は必ず忘れないようにしましょう。

混合ワクチン

伝染病を予防するために行うもので、飼い主様の任意での予防接種となります。

予防できる伝染病
  • ジステンバー
  • パルボウイルス感染症
  • 犬伝染性肝炎
  • パラインフルエンザ
  • コロナウィルス
  • レプトスピラ4種

猫のワクチン

混合ワクチン

混合ワクチンは伝染病を予防するために行う任意での予防接種となります。

予防できる伝染病
  • ウイルス性鼻気管炎
  • パルボウイルス
  • カリシウイルス
  • 白血病ウイルス
  • 猫 クラミジア感染症

フィラリア

フィラリア症とは蚊が媒介する寄生虫がワンちゃんの心臓や肺動脈に寄生する病気です。ワンちゃんに多く見られる病気ですが、ネコちゃんでも発症する可能性があります。
ワンちゃんの場合はフィラリアの寄生により血流が悪くなり、心臓を中心にさまざまな障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあるのです。一方、ネコちゃんの場合は肺の障害が多く見られ、咳や呼吸困難、嘔吐などを引き起こします。重症化を防ぐためにも、感染は定期的な予防薬によりほぼ完全に防げますので、毎年の予防を大事にしてください。

ノミ

ノミは体表に寄生し、ワンちゃんやネコちゃんの血液を吸うことが特徴です。強いかゆみを引き起こし、脱毛や湿疹などのノミアレルギーや、ノミを介した病気の感染リスクが高まります。
特にメスのノミは産卵し、カーペットや畳の隙間など、家の中で繁殖する恐れがあります。寿命は10~20日ほどですが活発な活動により、夏や冬などの季節を問わずに体へ寄生する可能性があるため、家の中に持ち込まないようにしっかり予防しましょう。
お薬はご希望に応じて、飲ませるタイプや首筋にたらすスポットタイプなどが選べますので、ご希望をお申し付けください。

マダニ

マダニの寄生は犬バベシア症や猫ヘモプラズマ症など貧血を起こさせる重篤な感染症にかからせたり、近年ではヒトに感染して脅威をもたらす重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のウイルス病も媒介することが恐れられています。
また、人間がマダニに直接咬まれて感染するケースがほとんどですが、最近ではマダニに咬まれた猫から人間に感染するケースも報告されており、ワンちゃん・ネコちゃんがマダニに寄生されないことがより重要視されています。
ノミ予防と同様にお薬は飲ませるタイプや首筋に垂らすスポットタイプなどが選べますので、ご希望をお申し付けください。

いざという時の備え「マイクロチップ」

当院では、動物たちにマイクロチップの埋め込みが可能です。マイクロチップは皮膚の下に埋め込む電子標識器具であり、動物たちの個体識別を主な目的にしています。
動物たちにとっての身分保証であり、ご自宅から逃走して迷子になった場合でも、飼い主様のもとへ無事に戻ってくる期待が高まります。
近年の法改正でマイクロチップの装着は、新しく飼われるワンちゃんネコちゃんについては義務化されておりますので、若いワンちゃんネコちゃんは心配ありませんが、中高齢で装着されていないワンちゃんネコちゃんは、もしものときの備えとして検討してみてください。

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